オーストラリア体験留学記

私が学校教員をしている頃、学校の生徒引率でオーストラリア短期留学の引率に行くことができました。
今回の投稿はそれに関しての記録です。
留学したのは2014年と少し昔ですが、何か参考になれば幸いです。


オーストラリア・プレ体験留学に参加して

オーストラリアの職業教育とTAFE
まず明らかに日本と違う点は、高校卒業後に自らが設定出来る『ギャップイヤー(1年間の進路選択期間。この間に多くの子どもがボランティア等を行い自らの興味関心を広げる)』であり、これこそ子ども達に進路決定を急がせない優れた教育制度だと感じた。現地で子育てをされたコーディネーターの方に尋ねると、実際高校卒業時点で自らの進路を選べる子どもは少なく、結局大学生になって自分の希望する専門ではなかったと学部を替えたり退学してTAFEへ入学する子どもも少なくないそう。
また就職後TAFEで専門知識を身につけてキャリアアップを目指したり、勿論一度就職してからmature生(社会人入学。学費が優遇される)として大学で学び直しをする大人も多いそうだ。コーディネーターさんの『オーストラリアは日本みたいに大学に合格しなくても人生の終わりではありません。』という言葉が印象に残っている。思い立ったら何度でも学びの場に飛び込み、自由にスキルを身につけることが出来る環境ということだ。
実際にNorthern Beaches Collegeで視察させていただいたCeramicコースでは実に楽しそうに陶芸を学ぶ年配の方々を拝見し、TAFEは職業教育の一環で資格取得の出来る専門機関であると同時にいわゆる生涯学習の場でもあり世代間交流も出来る優れた教育施設でもあると魅力を感じた。



生徒達の様子

大学見学
生徒達は全ての大学見学を通じて、『現地の大学生にインタビューをして各大学の学部や特徴などを教えて貰う』という課題を与えられたものの初日はなかなか成果が得られないようだった。しかし最後のマッコーリー大学では地図を解読して図書館まで辿り付けたグループ、10名以上の学生にインタビューを重ねたグループもいて各々工夫して課題に取り組めていたようだった。

TELC英語教室
初日はとても緊張していたようだったが次第に授業中に笑顔で英語を話す姿が見られるようにもなった。プログラムにはオーストラリア流挨拶やオーストラリアのお菓子当てゲーム、似顔絵当てゲーム等が用意してあり、楽しみながら英語に取り組むことが出来る工夫がなされていた。2日目はTELCの授業間にティーブレイクが用意してあり、カフェテリアで甘いものを食べたり飲み物を飲んだ後、生徒がかなり元気になって授業に戻ったのが印象的だった。

TAFE見学
目的意識の高い生徒が多かった為、各学科で気になったことを質問したり熱心に見学する姿が見られた。また、初日はただキャンパスツアーの教員の説明を聞くだけだったが最終日には説明を受ける際にもアイコンタクトを取る・分かった点で頷く・質問にすぐ反応するなど意欲的に参加出来ていた。
その他
添乗員さんから何か質問をする前にまずは笑顔でHow are you?とワンクッション置くと話がスムーズに進むと教えて貰ったり、引率教員に英語を話すコツを質問したり等生徒達はこの研修を通じて、英語を使うコミュニケーションの際に役立つ実用的なヒントを得ることが出来たのではないかと思っている。



教員として気が付いたこと
TAFEの授業を視察した際、実技的な授業ではあるが教員と生徒が共によく対話を行いながら授業が展開されている点にとても感動を覚えた。授業は教員の知識一辺倒にならず、教員は良い質問が挙がればその生徒を褒め、また共に質問の答えを探求する姿勢が新鮮だった。おそらく教員の仕事はタフであることが求められるであろうが、同時にやりがいも大きいのではないかと感じた。生徒は何か疑問に思ったらすぐに発言し、それが歓迎される授業は生徒の知的好奇心を高める授業であるともいえるのではないだろうか。これは日本の一斉式授業、教員が知識を上から授けるだけの授業の長短を考えるきっかけにもなった出来事であった。
また、TAFEでも各大学でも当たり前のようにdisable supportが整っており、どのような立場の人に対しても機会を均等に、不便のないよう便宜をはかっているのが良く分かった。実際に車椅子の学生も見かけた。
Ryde CollegeのHorticultureでは、現在世界的に重要視されているサステナビリティーに力を入れているという話が印象的であった。生徒達で池を作り、そこに様々な動植物が集まったり、溜まった雨水を再利用する。レンガや石灰岩を使って全く何もない新地から設計し造園をするのも可能な限り資源の再利用をしながら行うエコ・フレンドリーなコースだと感じた。そしてカレッジの中にもRecycle,Garbage,Organicと設定された3種類のゴミ箱が設置してあったのも印象的であった。
実際にMeadowbank collegeのInformation Technologyで説明をしてくれた教員が岡山に留学をしたことが有ると聞きとても驚いたのだが、彼は習った日本語はほぼ忘れてしまったけれど留学中習った剣道を今でも続けている、と教えてくれたことに感動した。留学をするということは異文化を受容する体験を得ることだが、それは一個人に生涯残る大きな出来事であると改めて感じる出来事でもあった。
改めまして、このような知識見聞を広める機会を与えてくださった福武教育文化振興財団に感謝の言葉を述べさせて頂きたいと思います。実際に岡山県の教員を代表して今回のプレ体験留学の引率をさせて貰い、改めて日本を外から眺め、自己を客観的に見つめることが出来たと思います。また、オーストラリアという場に果敢に挑戦する日本の青年の姿を見ることが出来たのはまさに日本の将来を担うだろう若者達を垣間見れた気がして教育者として強く感動を覚えるものでした。このプレ体験留学は現在グローバル教育に興味が有る教員は、是非率先して参加していただきたい有意義な研修であると思っております。

教員のグローバル化を起こしたい

教員のグローバル化を起こしたい…これはこのウェブサイトを運営するYuMaの切なる想いです

日本人の英語スピーキング力は世界に比較して低すぎるのではと思う

未来を担う世代の子どもたちはもっと海外に視野を向けるべきである

子どもは地球市民としてこれからの世の中を生きてほしい



これらは私がずっと教員として思い悩み考え続けていたことでした

私は元々は高校時代の恩師に影響を受け、世界史教員になることを目指し教育学部へ進学しましたが
実際帰国子女の多い私立中高一貫校で働くうちに「異文化受容能力」の大切さを痛感するようになりました

元々社会科教員として趣味が海外旅行であった私は数々の教員向け海外研修へ参加しました

いわゆる中堅教員になり始めた頃
新人教員や様々な研修先で出会う若い世代の教員に衝撃と刺激を受け
教員こそグローバル化が必要では、と考えるようになりました

そして2017年、私は教員を退職し、大学院進学に向けてハワイへ留学しました

同じように一度日本の教育を離れ、自身のキャリアアップのために留学・海外進学を考えられている先生方の目にこのウェブサイトが届くことを願っています